コンパス

2017年10月20日

私の学生時代、オリエーテーリングが流行りました。私も参加したことがあります。オリエンテーリングとは仲間と一緒に野山を地図とコンパスを片手にいくつもの中間地点でチェックを受け目的地にいかに早く着けるかを競う競技です。

あの時私はリーダーシップを発揮し地図と現在地点を把握しながら仲間を導いていきました。でも結果は、迷いに迷い、ゴールした時には会場の設営は撤去され関係者も帰ったあと。誰もいない状態で大変寂しい思いをしました。今思えばリーダーシップを発揮したのがまずかった。なぜなら私は方向音痴なのです。中学2年の時、小金井市に引っ越したその日、ちょっと散歩のつもりで外に出たら自分の家が分からなくなり危うく遭難しそうになったこともあります。方向音痴の仕組みは2015年に米ダートマス大学のタウベ博士によって解明されました。脳には関係する4つの細胞があり役割を果たしているそうですが、簡単に言うと、自分の頭の中の地図が曖昧で東西南北の感覚が弱いことによります。まさに自分に当てはまります。でも最近私は道に迷うことはありません。なぜなら腕時計にコンパスを取り付けているからです。駅の改札を出ても東西南北がわかるので正確に第一歩を踏み出せます。先日あるマンションを訪ねた時、私の腕時計を見てクリーンスタッフさんから「これは何ですか?」と聞かれました。「これはコンパスです。私は方向音痴なので道を間違えないように着けています。」と答えると、「妻木さん、道は間違えても会社運営の方向は間違えないように頑張ってください」と励まされました。

仕事を正しく進めるためのコンパスは何でしょうか?それは仕事をする目的だと思います。みなさんは何のために仕事をしますか?マンションを綺麗にしたいから?お客様に喜んでもらいたいから?お金を稼ぎたいから?多くの人がお金を稼ぎたいから、つまり家族や自分のために仕事をするのだと思います。それは私も同じです。ではお金を稼ぐとはどういうことでしょうか。私たちはマンションを綺麗に清掃します。それが対価を受け取るためのサービスです。お客様はそのサービスを受け取り、そのサービスに満足して対価を払います。お客様の喜ぶ仕事ができて初めてお金を稼ぐことができます。つまり、マンションを綺麗にすることとお客様に喜んでもらうこととお金を稼ぐことは三位一体なのです。これが仕事をする目的で、この三つを忘れず進めば正しい仕事の道を歩むことができるのだと思います。

余談ですが作家の夏目漱石も方向音痴で、ロンドン留学中に外出先から寄宿舎に戻る道を20回も教えてもらったというエピソードがあるそうです。それを知り、最近私は方向音痴が自慢になってきました。

 

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